赤ちゃんがボーっとする、呆然として固まる、目が合わない、反応がない原因と対処法は?

元気に遊んでいた赤ちゃんが、突然、ボーッとしたり、呆然として固まったりすることはありませんか?
また、ある時期から、呼びかけても赤ちゃんの反応が薄くなったもしくはなくなったことはありませんか?
こうした症状が赤ちゃんに見られる場合、病気や障害が原因となっていることがあります。
中には、放置すると症状が進行したり、社会適応が難しくなったりする病気や障害もあるため、赤ちゃんの様子がいつもと違うと感じたら、まずは慎重に観察し、それから病院受診を含めて適切な対処をしてあげる必要があります。
このページでは、赤ちゃんがボーっとする、呆然として固まる、反応がない場合の原因と対処法について紹介します。
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赤ちゃんがボーッとして反応がなくなる原因:サイレントベビー
サイレントベビーとは、健康な赤ちゃんに比べて感情表現が著しく乏しい赤ちゃんのことです。
蛍光灯ベビー症候群と呼ばれることもあります。
親をはじめとする大人にとって、サイレントベビーは「大人しくて育てやすい子」という印象を持ちやすいものです。
しかし、本来、赤ちゃんは泣いたりぐずったりして感情を表現するものなので、じっと黙って静かにしているということは異常事態です。
また、赤ちゃんは、泣くことで親と情緒的なコミュニケーションを交わし、親からお世話してもらうことで周囲への信頼感を育んでいます。
そのため、サイレントベビーになって親子のコミュニケーションが十分にできず、親からお世話してもらう経験が得られないままになると、その後の対人関係や社会生活に悪影響を及ぼすことになります。
サイレントベビーの対処法
サイレントベビーの原因は、親の関わり不足や不適切な関わりで、つまるところが愛情不足です。
そのため、赤ちゃんに接する機会を増やしたり、赤ちゃんが愛情を感じられる方法で接したりすることが大切です。
最も基本的な対処法は、赤ちゃんに関心を持ち、赤ちゃんの言動にこまめに反応することです。
赤ちゃんが泣いたら「おなかが空いたかな?おむつが気持ち悪いのかな?」と話しかけ、クーイングや喃語を話したら微笑みながら答えてあげましょう。
もちろん、どうしても忙しくて手が離せない時はあるでしょう。
そんな時は、「お母さんはここにいるよ。すぐ行くから待ってね。」と声をかけ、少しでも顔を見せてあげるといった配慮をしてあげることで、赤ちゃんは「お父さんお母さんは僕(私)に関心を持ってくれている。」と感じることができて、どんどん要求をしてくるようになります。
これまで、赤ちゃんに十分関わって来なかった親は、すぐに関わり方を変えることは難しいかもしれません。
そんな人はまず、赤ちゃんの言動に反応することを意識し、毎回でなくてもできるだけ赤ちゃんに関わることから始めてみましょう。
また、自分一人で育児を抱え込まず、家族や親せき、保健センターなど周りをうまく活用することも大切です。
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赤ちゃんがボーっとして反応がなくなる原因:小児てんかん
てんかんとは、てんかん発作を繰り返す脳の病気で、脳の慢性疾患と呼ばれています。
てんかん発作とは、ニューロン(脳の神経細胞)に突然発生する電気的興奮によって繰り返す発作です。
てんかんの種類
てんかんは、大きく4つに分類されます。
- 部分てんかん(突発性)
- 部分てんかん(症候性)
- 全般性てんかん(突発性)
- 全般性てんかん(症候性)
突発性は「脳にはっきりとした病変が認められない」てんかん、症候性は、「脳に特有の病変が認められるてんかん」だと考えてください。
てんかん発作の種類
てんかん発作には、次の種類があります。
- 間代発作(けいれん):手足をガクガクと一定のリズムで曲げ伸ばしする
- 強直発作:手足が突っ張って身体が硬くなる
- 欠神発作:突然、短い間だけ意識が消失する
- ミオクロニー発作:一瞬、手足や全身がピクッと動く
- 複雑部分発作:感情・感覚の変化や得意な行動など複数の発作が起こる
赤ちゃんのてんかんの特徴
てんかんのうち、生後0歳~15歳までに起こるてんかんを小児てんかんと呼びます。
小児てんかんは、生後1歳までの発病率が最も高く、発症するてんかんの多くが先天性の代謝異常や奇形を原因とする症候性てんかんです。
赤ちゃんの頃によく見られるのは、間代発作(けいれん)と欠神発作です。
けいれんの場合は、手足や身体がけいれんを起こすので、てんかんだと気付きやすいでしょう。
一方で、欠神発作の場合は、突然、20~30秒程度の間だけ意識がなくなります。
例えば、食事中に急にボーっとし始めて、スプーンを落としても気づかず固まっています。
また、遊んでいる最中に急にフリーズし、親が呼びかけても反応しません。
はたから見ると、急にボーっとし始めたり、反応がなくなったりしますが、短時間で症状が治まるため、てんかんだ気づかれないことが珍しくありません。
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赤ちゃんのてんかんの対処法
てんかん発作は不定期に繰り返されるので、赤ちゃんが頻繁にボーっとしたり固まったりしていたら、てんかんを疑います。
赤ちゃんがてんかん発作(けいれん)を起こした場合の対処法は、横向けもしくはうつ伏せに寝かせましょう。
立ったり座ったりした状態だと転倒して頭を打つ心配があり、あおむけの状態だと食べ物をのどに詰まらせる恐れがあります。
ただし、激しく身体がこわばってけいれんしている場合は、窒息を防ぐため、あおむけに寝かせて下あごを持ち上げ、気道を確保してください。
てんかん発作は自然治癒しないので、発作が治まったら早急に病院を受診させてあげましょう。
欠神発作の場合も同様で、早期に転換を疑って治療を開始することで、その後の社会生活への影響を減らすことができます。
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赤ちゃんがボーっとして反応がなくなる原因:自閉症(自閉症スペクトラム)
自閉症(自閉症スペクトラム)とは、①対人関係(社会性)の障害、②コミュニケーション能力の障害、③限定した常同的な興味、行動および活動(想像力の障害とそれに基づく行動の障害)の3つを特徴とする障害です。
生後3歳までに、3つの症状が見られた場合に自閉症と診断されます(DSM-Ⅳ)。
自閉症は、「自閉」という言葉から「心を閉ざす」イメージを持っている親が多いものですが、生まれつき脳の一部に障害があることで生じる発達障害の一つで、心の病気ではありません。
また、最近は、重度の自閉症やアスペルガー症候群などを連続的でつながりのある発達障害だと捉えた自閉症スペクトラムという概念(DSM-5)が登場し、臨床現場でも使われるようになってきました。
自閉症スペクトラムとは、ごく簡単に言うと、「共通点がある複数の発達障害をグループとしてまとめたもの」です。
「感覚異常」という自閉症(自閉症スペクトラム)の症状
自閉症の症状の一つに、「感覚異常」というものがあります。
感覚異常には、①周囲の刺激に対して過敏に反応する「感覚過敏」と、②刺激に対して鈍く情報を感覚に届けにくい「感覚鈍麻」の2つがあります。
このうち、赤ちゃんがボーっとする原因となるのが感覚鈍麻です。
感覚鈍麻の症状が見られる赤ちゃんは、例えば、テレビやラジオの音には反応するのに、親に呼ばれても振り向かないことがあります。
また、親が赤ちゃんをジッと見つめて微笑んでも、表情を変えず呆然としていることもあります。
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自閉症(自閉症スペクトラム)の対処法
自閉症を完全に治療する方法は見つかっていません。
しかし、病院の医師や発達障害の専門機関に相談しながら適切な療育を受けることで、社会生活を送るための能力を伸ばしていくことができますし、家庭における適切な接し方を学ぶこともできます。
発達障害の療育は、早いうちに行う方が効果が出やすいと言われているので、まずは小児科や保健センターに相談し、自閉症の疑いがあると指摘された場合は、専門機関を受診するなどして適切な対処を受けさせてあげましょう。
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まとめ
赤ちゃんがボーっとしたり、固まったり、反応がなかったりする原因には色々な原因があり、それぞれ対処法が異なります。
てんかんの欠神発作のように気づきにくいものもありますが、放置してしまうと赤ちゃんの成長発達や社会生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。
そのため、常日頃から赤ちゃんの様子をじっくり観察し、「いつもと違う」と感じたら、早めに小児科や保健センターに相談する癖をつけておきましょう。