乳児院とは?入所理由と預け方は?保育所や児童養護施設との違いは?

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親が子どもを預ける場所は保育園や幼稚園、児童養護施設などが有名ですが、乳児院もその一つです。

乳児院という名称から「赤ちゃんを預けるところかな。」想像できますが、具体的にどのような施設なのかや、入所理由や預け方などはあまり知られていません。

また、乳児院と保育所や児童養護施設との違いも知らない人が多いものです。

この記事では、乳児院という施設の概要、入所理由、入所者、預け方、保育所や児童養護施設との違いについて紹介します。

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乳児院とは

乳児院とは、何らかの事情で家庭において養育できない乳児を預かり、代わりに養育する施設です。

「家庭において養育できない」とは、保護者がいない場合、保護者による「養育が困難」な場合だけでなく、保護者による「養育が不適当」な場合も含みます。

乳児院の管轄と根拠法令

  • 乳児院の管轄:厚生労働省
  • 根拠法令:児童福祉法(37条)

乳児院は、厚生労働省が所管し、児童福祉法を根拠法令とする児童福祉施設の一つです。

児童福祉施設には、乳児院の他に保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、重症心身障害児施設などがあります。

乳児院の数

乳児院は、各都道府県に必ず1ヶ所以上設置することになっています。

厚生労働省の発表では、2016年10月時点で全国に136ヶ所設置されており、2901人の赤ちゃんが生活しています。

児童養護施設など他の児童福祉施設と併設されているところが多くなっています。

乳児院の入所年齢

乳児院に入所できるのは、乳児院という名称のとおり、生後1歳未満の乳児(赤ちゃん)です。

ただし、安定した生活の確保が必要である場合など特別な事情がある場合は、幼児でも入所することができます。

在所期間

乳児院の入所期間は決まっておらず、入所可能年齢を超過するか、家庭において養育できない事情が解消するまで在院することになります。

平均的な在院期間は、約13ヶ月です。

必ずしも約1年で親元へ戻っているというわけではなく、里親に引き取られたり、児童養護施設に入所したりする赤ちゃん(幼児)も一定数います。

また、厚生労働省の発表では、在所期間が1カ月未満の赤ちゃんが6.5%、6ヶ月未満を含めると25.7%おり、短期間の利用も一定数あることが分かります。

乳児院と保育所、児童養護施設の違い

乳児院、保育所、児童養護施設は、いずれも児童福祉法を根拠とする児童福祉施設です。

保育所とは、親の就労などにより保育を必要とする子どもを預かり、保育する施設です。

児童養護施設とは、家庭で養育できない乳幼児を預かり、代わりに養育する施設です。

保育所が、子どもを預かって「一定時間保育する」施設なのに対して、乳児院は、赤ちゃんを一定期間預かって「24時間体制で養育する」施設です。

乳児院と児童養護施設は、一定期間預かって24時間体制で養育する施設であることは共通していますが、入所できる年齢が違います。

乳児院の入所対象が乳幼児なのに対して、児童養護施設の入所対象は乳児から18歳の児童です。

乳児院の入所理由

乳児院への入所理由は、大別すると保護者がいない、保護者による「養育が困難」、保護者による「養育が不適当」な場合ですが、もう少し細かく分類すると、以下のとおりとなります。

  • 父母の死亡
  • 父母の就労
  • 父母の虐待
  • 父母が未婚
  • 父母の不和・離婚
  • 父母が入院(家族の疾病の付添い)
  • 父母が不在(行方不明、父母の拘禁など)
  • 父母の精神疾患
  • きょうだいの妊娠
  • 経済的理由

乳児院の入所理由1:父母の死亡

父母が死亡し、他に赤ちゃんを養育できる親族等がいない場合です。

親族等が赤ちゃんの養育を希望しても、適切な養育が見込めない場合や、保険金目当てなど不適切な動機に基づく場合などは、乳児院に預けられることになります。

乳児院の入所理由2:父母の就労

父母が共働きをしており、いずれも出張や遠隔地での勤務などで赤ちゃんの養育が困難な場合です。

共働きであっても、赤ちゃんを保育所で預けることで足りる場合や、赤ちゃんの面倒を見てくれる監護補助者がいる場合は該当しません。

乳児院の入所理由3:父母の虐待

父母の虐待は、乳児院の入所理由の一つです。

児童虐待には、①身体的虐待、②心理的虐待、③ネグレクト(放置や育児放棄など)、④性的虐待の4つがありますが、いずれの場合も赤ちゃんを保護して乳児院に入院させることになります。

赤ちゃんに対する虐待で多いのは身体的虐待とネグレクトで、乳児院に入る前に赤ちゃんが命を落としてしまうケースも後を絶ちません。

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乳児院の入所理由4:父母が未婚

父母が結婚可能年齢(男性18歳以上、女性16歳以上)に達しておらず、学業で養育が困難な場合などです。

乳児院の入所理由5:父母の不和・離婚

父母が離婚して赤ちゃんの養育が困難になった場合です。

離婚していなくても、父母の別居によって養育が困難になった場合なども含まれます。

乳児院の入所理由6:父母の入院(家族の疾病の付添い)

父母自身の入院や、父母が親族等の看病をする必要がある場合です。

短期間であれば、親族等に任せることもあるかもしれませんが、長期間になると、乳児院に預けることを検討することになります。

乳児院の入所理由7:父母が不在(行方不明、拘禁中など)

父母が赤ちゃんを放置して行方不明になった、または逮捕勾留・服役中で、赤ちゃんを適切に養育できる人がいない場合です。

父母が帰宅しても、養育を任せるのが不適当な場合は、引き続き乳児院で赤ちゃんを養育することになります。

乳児院の入所理由8:父母の精神疾患

父母に精神疾患があり、赤ちゃんを適切に養育することが困難な場合です。

精神疾患があることだけで乳児院に預けられることはなく、精神疾患の影響で適切な養育が困難な事情がある場合に限ります。

乳児院の入所理由9:きょうだいの妊娠

きょうだいを妊娠し、赤ちゃんの養育が困難になった場合です。

きょうだいが複数いる場合。赤ちゃんを乳児院へ、幼児を児童養護施設へ預ける父母もいます。

乳児院の入所理由10:経済的事情

経済的に余裕がなく、適切な養育が困難な場合です。

破産したり、収入が少なく家計に余裕がなかったり、離婚した元夫からの養育費が途絶えたりして経済的に困窮し、赤ちゃんを乳児院へ預ける親は少なくありません。

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乳児院に赤ちゃんを預ける方法

乳児院は赤ちゃんを預ける方法を見ていきましょう。

窓口は児童相談所

乳児院へ赤ちゃんを預ける時の窓口は、児童相談所です。

乳児院へ直接赤ちゃんを連れて行っても預かってもらうことはできないので、まず、児童相談所を訪問し、家庭において養育できない事情を詳しく説明します。

その上で、児童相談所が赤ちゃんを乳児院へ預けるかどうかを判断し、預ける場合には入所できる乳児院を探してくれます。

なお、直接児童相談所を訪問することが難しい場合は、189に電話すれば地域の児童相談所に繋がり、担当者が相談に応じてくれます。

乳児院は選べる?

赤ちゃんがどこの乳児院に入院するかを決めるのは、児童相談所です。

希望を伝えることはできますが、聞き入れられるとは限りません。

児童相談所は、乳児院の空き状況や、赤ちゃんの養育に必要な設備の有無、職員の配置などを考慮して入院先を選ぶので、自宅から遠いところを提案されることもあります。

費用は誰が払う?

原則、乳児院の費用は交付負担で、親が支払う必要はありません。

ただし、世帯収入が多い場合は負担を求められることがあるので、事前に確認しておきましょう。

乳児院における赤ちゃんの養育

乳児院における赤ちゃんの養育には、以下のような特徴があります。

  • 赤ちゃんを預かって24時間体制で養育する
  • 専門家が連携して養育にあたる

赤ちゃんを預かって養育する

乳児院は、家庭において養育が困難な赤ちゃんを一定期間預かって養育します。

一時帰宅や面会などはありますが、基本的には、24時間365日、担当職員が保護者として赤ちゃんに関わります。

専門家が連携して養育にあたる

乳児院には、医師、看護士、管理栄養士、保育士などの専門家が配置されています。

乳児院に預けられる赤ちゃんは、生後まもない新生児であったり、虐待により心身に傷を抱えていたり、栄養状態が悪く発育不全であったり、障害を持っていたりすることが多く、一人ひとりの状態に応じた関わりが必要になります。

そのため、専門家が各自の知識とノウハウを活かし、チームとして連携しながら、授乳、食事、おむつ交換、入浴、健康管理、指導、精神発達の観察などを行います。

乳児院を退院した後

乳児院を退院した赤ちゃんの行く先は、大きく3つあります。

  • 親元に引き取られる
  • 里親に引き取られる
  • 児童養護施設に入所する

親元に引き取られる

家庭において養育できない事情が解消した場合、赤ちゃんは家庭に戻ります。

養育できない事情が解消するというのは、親が引き取りを希望しただけでだけでなく、適切に赤ちゃんを育てられる環境が整ったという意味です。

そのため、児童相談所などが父母との面接や家庭訪問などを行い、養育環境が整っていないと判断した場合には、親元に戻さないこともあります。

また、親元に戻った後も、一定期間は児童相談所の職員が家庭訪問や面談などを行い、親子の再統合が円滑に進むようサポートします。

里親に引き取られる

家庭において養育できない事情が継続している場合、里親が赤ちゃんを引き取ることがあります。

里親とは、他人の子どもを養子として家庭に引き取り、養育する人のことです。

里親になるには、児童相談所等が実施する研修を経て里親登録する必要があり、里親として不適当な場合は登録されないため、安心して預けることができます。

父母の死亡など実の家庭へ帰ることができない赤ちゃんについては、里親が一定期間養育した後、特別養子縁組をして実子同様に育てるということもあります。

関連記事

特別養子縁組とは?条件と手続き費用、戸籍は?普通養子縁組との違いは?

児童養護施設に入所する

家庭に戻ることができず、里親も見つからない赤ちゃんの多くは、児童養護施設に入所することになります。

児童養護施設では、乳児院と同様、医師、看護士、児童福祉士などの専門職が連携し、24時間365日態勢で子どもの養育に当たります。

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その他の乳児院の役割

乳児院は、赤ちゃんを養育する以外にも役割があります。

  • 保護者支援
  • 退院後の赤ちゃんや保護者へのケア
  • 育児相談

保護者支援

乳児院では、赤ちゃんを預かった後、その親と面談したり、家庭訪問したりして状況を把握し、家庭において赤ちゃんを養育できるようになるようサポートします。

サポートの内容は、各家庭の状況を踏まえて個別に行われますが、一般的には、赤ちゃんへの面会の促し、赤ちゃんを引き取った後の具体的な監護態勢の検討、親が抱える問題の把握と対応などです。

退院後の赤ちゃんや保護者へのケア

乳児院を退院して家庭に戻った赤ちゃんが、家庭にうまく馴染み、親から適切な養育を受けられているかどうかを確認します。

特に、不適切な養育が原因で赤ちゃんが乳児院へ入院した場合は、親の養育態度や赤ちゃんの健康状態などを慎重に観察して必要な助言指導を与え、場合によっては再び乳児院へ入院させることもあります。

育児相談

乳児院の中には、入院中の赤ちゃんとは無関係の親からの育児相談を受け付けているところがあります。

児童福祉士などの専門家が相談に応じてくれるので、育児の悩みや不安、乳児院への入所を検討していることなどを気軽に話すことができます。

まとめ

乳児院は、家庭において養育が難しい赤ちゃんを預かって養育する施設で、専門家が連携して24時間365日体制で赤ちゃんに関わっています。

入所理由は、保護者がいない、保護者による養育が困難、保護者による養育が不適当の3つに大別されますが、それぞれ各家庭に個別の事情があります。

乳児院退所後は、家庭に引き取られることもあれば、里親に引き取られたり、児童養護施設へ入所したりすることになります。

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