2015年頃から、ジカ熱(ジカウィルス感染症)という病気がニュースによく登場するようになりました。
日本ではなじみのない病気でしたが、海外渡航者の感染や、赤ちゃんの小頭症との関連が指摘されるようになり、注目を浴びています。
このページでは、ジカ熱(ジカウィルス感染症)とはどんな病気か、原因、症状、治療法、予防法、小頭症との関連について紹介します。
スポンサーリンク
見出し
ジカ熱(ジカウィルス感染症とは)
ジカ熱とは、ヤブカ属の蚊が媒介するジカウィルスに感染することで起こる感染症のことです。
ジカウィルスは、デング熱や黄熱病、ウェストナイル感染症を引き起こすウィルスに近いことが分かっています。
ジカ熱の国内での感染が確認されている地域は、2016年1月時点で24か国です。
ブラジルやコロンビアなどの南米、メキシコやエルサルバドルなどの中米といった南アメリカ大陸を中心に、広範囲で感染が確認されており、今後も感染者や感染地域が増加する可能性が指摘されています。
日本では、2016年2月、ブラジルから帰国した高校生がジカ熱を発症したことが話題になりました。
ジカ熱の原因
ジカウィルスに感染することで発症します。
ジカウィルスは、ヤブカ属の蚊(主なキャリアはヒトスジシマカとネッタイシマカ)刺されることで人に感染します。
いずれの蚊も、南極大陸を除く世界中に生息しており、ジカ熱だけではなく、デング熱を媒介することでも知られています。
日本では、秋田県と岩手県より南のほぼ全地域にヒトスジシマカが生息しています。
現在、日本人が感染するのは、感染地域に渡航した場合がほとんどですが、ヒトスジシマカが海外でジカウィルスに感染した人の血を吸い、さらに他の人の血を吸った場合、日本でも感染が広がる可能性があります。
ただし、ヒトスジシマカは、活動時期が5月~10月頃で越冬できません。
また、卵にジカウィルスが残るという報告もありません。
活動範囲も100メートルくらいなので、外国のように感染が急に拡大する可能性は低いと考えられています。
ジカ熱の症状
ジカウィルスは、3日から12日(多くの場合は3日から7日)の潜伏期間を経て発症し、1週間くらい症状が続きます。
主な症状は、発熱、関節痛、関節炎、結膜充血、発疹です。
また、頭痛、筋肉痛、腹痛、嘔吐、下痢、食欲不振などの症状が出る場合もあります。
デング熱も同じような症状が出ますが、症状の出方はジカ熱の方が軽く、ジカウィルスに感染しても80%くらいの人は症状がないか、気づかないと言われています。
一度ジカ熱を発症すると抗体ができるので、何度も発症することはありません。
ジカウィルスは、お母さんから赤ちゃんに胎内感染することがある
気を付けたいのは、妊娠中のお母さんがジカウィルスに感染すると、お腹の中の赤ちゃんに感染することがあるということです。
症状が出れば治療できますが、症状がなく感染に気付かないままの場合、知らないうちにお腹の中の赤ちゃんに感染し、深刻な症状を引き起こすリスクがあります。
スポンサーリンク
ジカ熱と小頭症の関係
小頭症とは、月齢に比べて脳や頭蓋骨が小さい状態のことです。
頭が小さいだけではなく、知的障害、運動障害、けいれん発作など、日常生活に支障をきたす様々な症状が引き起こされます。
2015年10月、ジカ熱発症者の多いブラジルの保健省が、妊婦のジカウィルス感染と胎児の小頭症に関連があるという発表をしました。
2016年2月時点では、小頭症とジカ熱(ジカウィルス)との関連は調査中で、ジカ熱が小頭症を引き起こす原因だと断定されたわけではありません。
しかし、可能性は高いと考えられており、世界各国、各地域で注意喚起されるようになっています。
- アメリカ疾病予防管理センター(CDC):2016年1月15日、妊婦に対してジカ熱流行国への渡航を控えるよう警告し、妊娠予定の女性に対して蚊対策の徹底を促す発表を行う
- 欧州疾病予防管理センター(ECDC):2016年1月21日、妊婦や妊娠予定の女性に対してジカ熱流行地域への渡航見直しを促す発表を行う
- 世界保健機関(WHO):2016年2月1日、緊急委員会を開催して、「小頭症及びその他の神経障害の集団発生に関する国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC)」を宣言
日本では、厚生労働省のホームページに、「ジカウイルスは母体から胎児への垂直感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があるとされています。」と記載されており、ジカ熱と小頭症の関連について指摘されています。
また、「海外の流行地へ出かける際は、できるだけ肌を露出せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意してください。」と注意喚起がなされています。
ただし、欧米各国の注意喚起と読み比べてみると、やや弱めの注意喚起だということが分かります。
欧米各国に比べて感染者が少ないことが理由だと考えられますが、小頭症は赤ちゃんの人生に大きな影響を与える病気なので、発症のリスクはできる限り避けるようにしてください。
2016.4.13追記
2016年4月13日、アメリカの疾病予防管理センター(CDC)は、中南米で多発している小頭症について、妊娠中にジカ熱に感染することが原因であると結論を発表しました。
関連ページ
スポンサーリンク
ジカ熱(ジカウィルス感染症)の治療法と予防法
ジカ熱を発症した場合は、発熱や痛みといった症状に合わせて投薬治療を行います。
脱水症状がひどい場合は輸液が行われることもあります。
ジカ熱の予防は、蚊に刺されないようにすることです。
蚊の多い場所はなるべく避け、出かける際は、長袖を着せて肌の露出をできるだけ少なくしましょう。
見逃しがちなのが顔と手足、お腹(赤ちゃんが動いた拍子に服がめくれてお腹が出ていることがある)です。
また、家にいる時は網戸(できればドア)をしっかり閉め、蚊帳を活用してください。
防虫剤は、赤ちゃんの身体に良くない成分が含まれる商品があるので、事前に成分チェックが必要です。