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乳児期の子育て

共同注意とは?赤ちゃんの指差し、言語発達、自閉症との関係、共同注視との違い

共同注意 心理学 自閉症 いつから

乳児期の赤ちゃんがどのようにお母さんとコミュニケーションをしているか知っていますか?

赤ちゃんは、言葉を獲得していないため、会話によって母子のコミュニケーションができません。

しかし、人からの刺激に対する敏感な感覚を持って生まれます。

特に、ほとんどの時間を一緒に過ごしてお世話をしてもらうお母さんに対して非常に高い感受性が備わっており、視覚、聴覚、嗅覚などをフル動員してお母さんからの刺激をキャッチしています。

また、赤ちゃん自身も泣く、笑う、ぐずるなどして自分の欲求や気持ちを表現することでお母さんとコミュニケーションしています。

共同注意は、赤ちゃんの高い感覚能力を基礎とする母子のノンバーバル(非言語)コミュニケーションの一つで、その後のコミュニケーションの原点とも言えるものです。

この記事では、共同注意とは何か、共同注意の意味と発達の種類、自閉症(自閉症スペクトラム)との関係について紹介します。

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共同注意とは

共同注意とは、「①人が他人と同じ対象に注意を向け、また、②他人が自分と同じ対象に注意を向けていることを知っている状態」のことです。

英語では「joint attention」と表記し、日本語では共同注意と訳されています。

例えば、「お母さんの視線を目で追って、お母さんが見ているぬいぐるみを見ること」、また、「お母さんがぬいぐるみを見ていて、自分もお母さんと同じぬいぐるみを見ていることに気づいている状態」です。

共同注意は、言葉を獲得しておらず会話によるコミュニケーションができない赤ちゃんが、他人(主にお母さん)とコミュニケーションするために必要な能力です。

個人差はあるものの、健常な赤ちゃんの多くが獲得する能力であることから、赤ちゃんの認知発達の指標とされています。

赤ちゃんの発達における共同注意の意味

対象が何であったとしても、他人と何かを共有することで赤ちゃんの世界は広がりを持つようになりますし、共有する相手として他人の存在を認識し、その意図を理解したり、もっと理解したいと思ったりするきっかけにもなります。

つまり、身近な人との間で共同注意を繰り返すことは、他人の気持ち・考えを理解する力や言葉を話す力の獲得に大きく関わっているのです。

共同注意と共同注視の違い

共同注意と混同されやすい言葉に共同注視があります。

共同注視とは、人が他人と同じ対象に注意を向けることです。

他人と同じ対象に注意を向けるという点は共同注意と共通ですが、「他人と自分が同じ対象に注意を向けていること」は認識していない状態です。

例えば、「お母さんが見ているぬいぐるみを赤ちゃんも見ている状態」が共同注視です。

自分とお母さんが同じぬいぐるみを見ていることには気づいていないところが、共同注意と異なります。

共同注意はいつから?

共同注意の獲得時期については多くの研究結果が発表されていますが、いずれも、赤ちゃんが共同注意を獲得するのは生後8ヶ月~10ヶ月頃としています。

通常、生後8ヶ月~10ヶ月頃には、視線追従(親が見ている対象を見ようとする)や社会的参照(自分の行動について親の反応を確かめる)、他人の意図に気づき始めるなど、共同注意に関する行動がいくつも見られるようになります。

そのため、言語発達を専門的に研究したアメリカの認知心理学者マイケル・トマセロは、この時期を「子どもの行動に劇的な変化が見られる時期」という意味で「9ヶ月革命」と名づけています。

ただし、赤ちゃんの成長発達は個人差が大きく、必ずしも標準的な期間内に共同注意が獲得されるとは限りません。

獲得が早い場合は問題はなく、獲得が遅れていたとしても基本的には赤ちゃんの成長を見守ることになります。

ただし、生後1歳6ヶ月を過ぎても共同注意する様子が全くない場合は、1歳半健診時やかかりつけ医の小児科を受診して相談してください。

共同注意を獲得するまでのステップ

共同注意は、赤ちゃんが持って生まれた先天的な能力ではなく、生まれた後に、親を中心とする他人と関わる経験を積み重ねることで少しずつ獲得していく後天的な能力です。

共同注意を獲得するまでのステップは、大きく3つに分けることができます。

  • 人と人の二項関係の成立
  • 人と物の二項関係の成立
  • 三項関係の成立(共同注意)

共同注意のステップ1:人と人の二項関係の成立

赤ちゃんは、生まれたての頃は視力が弱く、授乳時にお母さんの顔がぼんやり見える程度ですが、親の視線を敏感に察知し、話しかけてくる声にも耳を傾けています。

月齢を経て視力が向上すると、親の顔を認識したり視線を合わせたりできるようになり、親が微笑みかけたり話しかけたりする様子も見聞きできるようになって、親が見つめたり話しかけたりする「対象=自分」の存在に気がつきます。

そして、親が微笑みに微笑みを返す社会的微笑や、親の視線に視線を返してジッと見つめるアイコンタクトなどのノンバーバル(非言語)なコミュニケーションを身に付けて、繰り返すようになります。

「わたし=赤ちゃん」と「あなた=親」という2人の人の関係ができていくわけです。

こうした人と人の関係を二項関係と言います。

共同注意のステップ2:人と物の二項関係の成立

赤ちゃんの興味関心は、まず身近な親に向き、それから身近なものに向いていきます。

自分の意思で頭を左右に振ったり手足を動かしたりできるようになると、布団の周りの様子をじっくり観察して、近くにあるおもちゃやぬいぐるみに手を伸ばして掴み、遊びます。

例えば、ラトルを振って遊ぶ、掴んだ物を口に入れる、わざと落としたり投げたりするなどして遊びます。

つまり、「わたし=赤ちゃん」と「物」の関係を結ぶことができるようになっていくのです。

「人と人」、「人と物」の二項関係は、あくまで自分が見た人や物と関係を結ぶ段階であり、他人が見た対象に注目することはありません。

共同注意のステップ3:三項関係の成立

二項関係が成立するようになった赤ちゃんは、親の様子をつぶさに観察するうちに、親が見ている対象に興味を持ち、親の視線の先を目で追いかけるようになります。

つまり、「自分と他人と物」、「人と人の二項関係に加え、二項関係にある2人の人が同じ対象を見ている状態(三項関係の成立)」になるわけです。

例えば、①赤ちゃんがお母さんの顔を見上げ、自分とは違う方向を見ているのに気づく、②お母さんの視線の先を目で追い、ぬいぐるみを見ていることに気づく、③お母さんが見ているぬいぐるみを一緒に見るようになります。

二項関係が成立した段階の赤ちゃんは、お母さんがどこかを見ていることに気づいても、視線の先を追うことはなく、すぐ別のことに興味が移っていきます。

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共同注意の発達

赤ちゃんは、主に親との関係性の中で共同注意を繰り返すことで、その能力を向上させていきます。

  1. 親が注意を向けた対象に注意を向ける
  2. 親の行動に注意を向ける
  3. 親の注意を操作する

共同注意の発達1:親が注意を向けた対象に注意を向ける

赤ちゃんが注意を向けるのは、親の視線の先と親が指差した先で、いずれも視覚的な対象です。

親が主導で行う共同注意であり、受容的共同注意と呼ばれることもあります。

親の視線の先を目で追う

赤ちゃんはまず、親が自分とは別の対象に注意を向けていることに気づき、その対象に注意を向けます。

対象に注意を向ける過程では、親の顔や身体の向きや声が聞こえる方向など視線以外の情報も同時に処理して、親が見ている対象を判断します。

この行動は視線追従と呼ばれており、親の意図を感じ取る行動の芽生えだと考えられています。

ただし、親の動きにつられて無意識に同じ行動を取っているのではないかという指摘もあります。

つまり、親の意図を感じ取っているわけではなく、赤ちゃんが親の動きにつられてした行動が、「赤ちゃんが親と同じ行動を取ったように見えているだけ。」だと指摘しているのです。

親が指差した先を目で追う

親の視線を目で追えるようになった赤ちゃんは、親が意図的に指差した方向を見ることができるようになっていきます。

最初のうちは、赤ちゃんの視界にある対象の一つを指差した場合にのみ注意を向けていますが、その後、視界にない対象を指差してもそちらに注意を向けるようになります。

これは、自分の視界の外にも世界が繋がっていて人や物が存在することや、3次元の空間を認識できるようになっている証であり、目を凝らしたり身体の向きを変えたりして対象を探すだけの能力が身についている証でもあります。

もちろん、視界の外で黙って指差しをしても気づかれないので、「あ、あれなんだろう?」などと声をかけて注意を引くか、指をさしている様子を赤ちゃんに見せてあげる必要はあります。

共同注意の発達2:親の行動に注意を向ける

赤ちゃんは、親の視線や指差しの先に注意を向けるようになるうちに、「親には、自分とは違う親の気持ちや考えがある」ということに気づきます。

そして、親の気持ちや考えを踏まえて行動するようになっていきます。

代表的な行動としては、①動作模倣と②社会的参照があります。

動作模倣

共同注視を獲得した赤ちゃんは、親の動作を見よう見まねでやってみるようになります。

例えば、積み木を1~2個積む、手を開いたり閉じたりするなど、単純な動作を模倣します。

赤ちゃんの運動機能の発達を超える複雑な動作は模倣できませんが、模倣しようとやってみることはあり、少しずつ親の動作に近づいていきます。

社会的参照

社会的参照とは、赤ちゃんや子どもが新しい人や物、状況などに遭遇した時に、親の反応をうかがい、親の反応に応じた行動をすることです。

「親には親の気持ちや考えがある」ことを知った赤ちゃんは、何か新しいことをしたり新しい状況に置かれたりすると、親の反応をうかがい、親の表情や態度によってその後の行動を決定するようになります。

例えば、初めて親せきの子どもに会った時に、親が笑顔でその子どもと話していれば安心して近づきますが、不快な顔をしていれば親のそばから離れず警戒します。

共同注意の発達3:親の注意を操作する

赤ちゃんは、親が注意を向けた対象に注意を向ける受容的共同注意や、親の意図を察知する段階を経て、今度は自ら親の注意を引いて操作するようになります。

これを協応的共同注意と言います。

協応的共同注意の代表的なものが指差しです。

赤ちゃんの指差しとは、興味の向いた対象を指差して示すことです。

指差しには、興味関心の向く対象を指し示す自発の指差し、取ってほしい物などを指し示す要求の指差し、親の注意を引こうとする定位の指差しがあります。

自発の指差しは、何かを要求するわけではありませんが、自分の関心を表現するものです。

要求の指差しは、自分の意図を相手に伝え、相手に何らかの要求をするものです。

定位の指差しは、親の関心を引くためのもので、指差しと同時に親の顔を見る、声を出すなど親の注意を引く工夫をします。

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共同注意と自閉症(自閉症スペクトラム)

共同注意は、乳幼児期の発達の指標であり、1歳半健診の検査項目の一つとなっています。

そのため、1歳半を過ぎても共同注意が見られないと「自閉症(自閉症スペクトラム)などの発達障害があるのではないか。」と心配になる親も少なくありません。

自閉症(自閉症スペクトラム)とは、コミュニケーション、行動、社会適応に特徴的な症状が見られる発達障害です。

自閉症(自閉症スペクトラム)の人の乳児期のエピソードを詳しく聞くと、以下のような特徴を確認することができます。

  • 表情が乏しい(泣いたり笑ったりしない)
  • お父さんお母さんと目を合わせない
  • 抱っこを嫌がって泣きながら反り返る
  • 落ち着きがなく、常に体を動かしていて、よく怪我をする
  • 抱っこしても、そわそわして周囲を気にしている
  • 人見知りや後追いをしない
  • 指差しをしない
  • 言葉の発達に遅れが見られる
  • 呼びかけても返事をしない
  • まねをしない
  • クレーン現象(お父さんお母さんの手を使って、自分のやりたいことを代わりにしてもらおうとすること)を見せる

お父さんお母さんと目を合わせない(視線が合わない)、指差しをしない、まねをしない(模倣がない)など、共同注意が獲得されていない可能性を考慮できる症状が見られますが、「共同注意が獲得されていない=自閉症(自閉症スペクトラム)」というわけではありません。

自閉症(自閉症スペクトラム)の診断は、DSM-5という診断基準に基づいて、子どもの行動観察、親からの事情聴取(子どものエピソードの確認など)、心理検査や知能検査などの結果を総合して慎重に行われます。

そのため、共同注意が見られないことだけで診断されることはありません。

また、診断できるようになるのは生後3歳前後、早くても生後1歳6ヶ月~2歳頃からであり、乳児期の赤ちゃんのうちに確定診断がつくことはなく、経過観察となります。

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まとめ

赤ちゃんは、親などの他人が自分とは異なる気持ちや考えを持つことに気づき、親の模倣や親の意図に沿って行動することを学び、自ら親の注意を操作することも覚えます。

こうした共同注意を獲得することが、他人の気持ちや考えを理解する力や、言葉を話す力の獲得につながっていきます。

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