パタハラ(パタニティハラスメント)とは?事例や裁判例、マタハラとの違いは?

パタニティハラスメント パタハラ

近年、育児に高い意欲を示し、実際に育児参加する男性が増えています。

国が男性の育児参加を推進し、従来の育児関連制度の見直しや新制度の導入を主導していることから、男性が育児参加しやすい環境が整備されつつあります。

しかし、勤務先で育児休業などの育児参加制度が設けられていたとしても、利用を希望すると上司から圧力をかけられたり、同僚の理解を得られなかったりするケースが多く、理不尽な異動や退職を余儀なくされることもあります。

このように、育児休業などの利用を希望した男性に対して、職場の上司や同僚がいじめや嫌がらせを行うことをパタハラ(パタニティハラスメント)といいます。

この記事では、パタハラ(パタニティハラスメント)の概要(マタハラとの違い、厚生労働省における位置づけ)、パタハラの原因、パタハラの事例と裁判例、パタハラの防止措置について解説します。

パタハラ(パタニティハラスメント)とは

パタハラとは、育児休業などを取得して育児参加を希望する男性に対する、勤務先の上司や同僚によるいじめや嫌がらせなどの行為のことです。

パタニティハラスメントは、英語の「paternity(父性)」と「harassment(嫌がらせ)」を組み合わせた言葉で、正式名称はパタニティハラスメントです。

マタハラ(マタニティハラスメント)とパタハラ(パタニティハラスメント)

妊娠や出産をしたことや育児参加制度の利用を希望した女性に対する、職場の上司や同僚によるいじめや嫌がらせ(マタニティハラスメント、マタハラ)が社会問題になっていますが、パタハラは、マタハラの男性版として近年問題となっています。

厚生労働省のパタニティハラスメントにおける位置づけ

厚生労働省は、パタハラを「育児参加を希望する男性へのハラスメント」として「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(男女雇用機会均等法第11条の2、育児・介護休業法第25条)」の一つと位置づけています。

職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとは、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとは、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」等の就業環境が害されること

引用:職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!|厚生労働省

パタニティハラスメントの原因

パタニティハラスメントが起こる原因は、大きく二つあります。

  • 「育児は女性の仕事」という考え方
  • 男性の育児参加制度の周知が不十分

「育児は女性の仕事」という考え方

男性の育児参加は国の施策の一つとして推進されており、育児参加に意欲を示す男性が増加し、育児は夫婦が協力して行うものだという考え方も広まりつつあります。

しかし、「育児は女性の仕事」だという古い考え方を持った人は一定数おり、彼らが男性の育児参加について否定的な言動や態度に及ぶことでパタニティハラスメントが起こります。

男性の育児参加に理解が乏しい上司や同僚が多い企業では、所属部署や会社全体に男性の育児参加に否定的な雰囲気が蔓延し、育児休業などの制度利用を請求しにくい職場風土が定着しまっていることもあります。

なお、パタハラの加害者は男性の上司や同僚だと思われがちですが、実は、女性の上司や同僚によるパタハラも少なくありません。

「育児は女性の仕事」という考え方は、一昔前の日本では当たり前に受け入れられていたところ、男性にも女性にもその影響が残っていてパタハラを招いてしまうのです。

男性の育児参加制度の周知が不十分

育児休業や子の看護休暇などの育児参加制度は、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業法」という。)に定められた労働者の権利であり、子どもを養育する人であれば、法律に規定された条件を満たすことで男女問わず利用できます。

しかし、男性が育児参加制度を利用できることや、どのような制度が設けられているのかなどについて、周知が徹底されていない企業が少なくありません。

そのため、企業が法律に基づいて男性の育児参加制度を設けているにも関わらず、上司や同僚をそれを知らず、独断や偏見でパタニティハラスメントに及ぶケースも少なくありません。

男性の育児参加に多少の偏見があったとしても、法律に規定されていることや企業が制度を設けていることを知っていれば自制できる人も多いところ、周知が不十分なことで不要なパタハラを招くことがあるのです。

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パタハラ(パタニティハラスメント」の事例と裁判例

パタハラは全国各地で発生しており、パタハラをめぐる裁判も提起されています。

パタハラの事例とパタハラに関する裁判例について見ていきましょう。

パタハラ(パタニティハラスメント)の事例

まずは、勤務先におけるパタハラの事例です。

  • 妻が妊娠し、育児目的休暇(産前休業)の取得を希望したところ、上司から「休業するなら退職してもらうことになる。」と言われた。
  • 育児休業の取得を希望したところ、上司から「復職できると思うなよ。」と圧力をかけられ、また同僚から「俺たちに負担をかけて平気なのか。」と不満をぶつけられた。
  • 育児休業の取得を希望したところ、上司から「男のくせに育休なんて何を考えているのか。」と叱責された上、その日のうちに部署内に言いふらされ、同僚からも「休みたいだけだろう。」などと言われた。
  • 育児休業を申請したところ、上司を含む会社の上層部から「取り下げなければ退職してもらう。」と言われ、申請の取下げを強制された。
  • 育児休業の取得希望を相談したところ、同僚から繰り返し申請をしないよう求められ、それでも申請すると罵倒された上に口をきいてもらえなくなった。
  • 育児休業が終了して復帰した1週間後、離島への転勤を命じられた。
  • 育児休業終了後、希望していた休業前の部署に戻れず、倉庫内の単純作業に回された。
  • 育児のために時間外労働の免除を希望したところ、上司から「当面は昇進しなくて良いということだな。」と言われた。
  • 育児のために短時間勤務を申請したら、上司や同僚から「自分のことしか考えていない。」と再三言われ、申請を取り消さざるを得ない状況に追い込まれた。

いずれも勤務先で設けられている育児休業などを利用しようとして受けたパタハラの事例です。

パタハラ(パタニティハラスメント)の裁判例

パタハラをめぐる裁判例としては、医療法人稲門会のパタハラ訴訟の裁判例(いわくら病院事件)を確認しておきましょう。

医療法人稲門会の裁判とは、男性看護士の育児休業取得を理由とする職能給昇給停止等の効力が争われた裁判です。

男性看護士は、3ヶ月以上の育児休業を取得した後に復職したところ、①就業規則に基づいて職能給(職務手当)を昇給させなかった、②人事評価の対象外であるとして昇格試験の受験資格を認めず受験機会を与えなかったことが、不利益取扱いの禁止(育児・介護休業法第10条」に該当する公序良俗に反する違反行為だと主張し、医療法人稲門会に不法行為に基づく慰謝料を請求する訴訟を提起しました。

第一審(原審)は、①についてのみ不法行為に該当することを認めましたが、男性看護士が判決を不服として控訴し、第二審(控訴審)では①及び②について不法行為に該当するという判断を下しました。

参考:労働基準判例検索

パタハラ(パタニティハラスメント)の防止措置

厚生労働省は、パタハラがワークライフバランスの実現を阻害するとともに、離職や仕事の生産性の低下を招く原因であると指摘し、厚生労働大臣の指針で事業主に対する雇用管理上講ずべき措置を定めています。

厚生労働大臣の指針の内容は、実施が望ましいとされるものを除いて実施する義務が事業主に課せられています。

  • 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
  • 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
  • 併せて講ずべき措置

引用:職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!|厚生労働省

併せて講ずべき措置とは、相談者のプライバシー保護のための措置を講じて周知する、相談などを理由に不利益取扱いをしてはならないことを定めて周知・啓発するなどです。

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まとめ

パタハラ(パタニティハラスメント)は、決して他人事ではありません。

程度の差はあるもの、多くの会社でパタニティハラスメントが起きており、マタニティハラスメントとともに社会問題となっています。

注意したいのは、加害者の多くが、意識せずにパタニティハラスメントを繰り返しているということです。

他のハラスメントと同様、被害者が「パタハラを受けた。」と感じれば、パタニティハラスメントです。

「男性が育休取得なんてありえない。」、「家庭と子どもは女に任せて、男は仕事をすべきだ。」など古い考え方に囚われたままだと、気づかないうちにパタニティハラスメント加害者になっているおそれがあるのです。

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