男性の育休(育児休業)のメリット・デメリット~企業目線~

男性 育休 メリット デメリット

育児休業は、育児・介護休業法に規定された制度であり、育児中であれば男女に関わらず取得することが認められています。

また、男性の育児参加は、女性が活躍できる社会づくりとともに国の背策として推し進められており、厚生労働省が「2020年までに男性の育児休業取得率を13%に引き上げる。」という目標を掲げて、諸制度の改正や導入を行っています。

それにも関わらず、男性の育児休業取得率は、2016年度が3.16%、2017年度が5.14%(速報値)で、女性のそれと比較すると低い取得率に留まっています。

男性の育児休業取得率が向上しない一因として、企業(事業主)が男性の育児休業のデメリットにばかり目を向けがちで、育児休業取得を希望する男性を十分にサポートできていないことが挙げられます。

しかし、男性の育児休業取得が企業にもたらすメリットは大きく、取得を促進することが企業の躍進にもつながる可能性があります。

この記事では、企業(事業主)の視点から見た男性の育児休業取得のデメリットとメリットについて解説します。

男性の育児休業のデメリット

男性の育児休業が企業にもたらすデメリットは、以下のとおりです。

  • 労働力の低下
  • 負担の分配と職員の不満への対応
  • パタニティハラスメントの発生
  • 育児休業制度の運用コスト

労働力の低下

社員が育児休業を取得すると、単純に一人分の労働力が低下します。

人材が豊富な大企業であれば代替要員の確保などで対応することができますが、社員一人ひとりが担う業務が多い中小零細企業の場合、社員一人が育児休業を取得するだけでも仕事が回らなくなったり、利益が大幅に下がったりするリスクがあります。

育休取得者が重要な役割や仕事を担っているほど、企業にとっては大きな影響が出ることになります。

もしもの場合を考慮して業務の代替性を確保しておくことは経営の基本ですが、実際のところ、特定の社員しかこなせない業務を抱える企業は多いものです。

負担の分配と職員の不満への対応

社員の一人が育児休業を取得すると、その社員が担っていた業務を再分配する必要が生じます。

代替要員を採用して一時的に業務を任せることもありますが、育児休業を取得した社員の上司や同僚に負担させることも多いものです。

そのため、「育児休業を取得されると、自分の仕事の量が増えるのではないか。」と考える人は一定数います。

また、「男は仕事、女は家庭」という考え方が社会の常識として通用した時代を生きてきた人などの中には、「男が育児休業を取得するなどありえない。」などと時代錯誤な不満を持つ人が一定数います。

企業としては、こうした負担の分配や職員の不満を無視するわけにはいかず、その対応に人的・物的コストをかけなければなりません。

パタニティハラスメントの発生

パタニティハラスメントとは、英語の「paternity(父性)」と「harassment(嫌がらせ)」を組み合わせた単語で、育児のために休暇や育児休業を希望する男性に対する嫌がらせやいじめのことです。

パタニティハラスメントは、パワーハラスメントの一つです。

育児・介護休業法では、育児休業の取得などを理由として不利益な取り扱いを行うことが禁止されており、また、パタニティハラスメントなどの防止措置を講じる義務を会社に課しています。

しかし、育児目的で休暇を申請したら上司に怒鳴って説教された、育児休業取得を希望すると辞表の提出を求められたなどのケースは後を絶たず、育児参加を希望する男性にとっては深刻な悩みとなっています。

企業としても、育児・介護休業法でパタニティハラスメントなどの防止措置を講じる義務が課されているため、社内でパタニティハラスメントが発生すると、その対応に追われることになります。

男性の育児参加が推進されている現状でパタニティハラスメントが公になると、企業のイメージダウンも避けられません。

育児休業制度の運用コスト

育児休業は育児・介護休業法に規定された制度で、企業には育児休業制度を設けることが義務付けられています。

しかし、男性の育児休業の推進には制度を設けるだけでは足りず、男性が育児休業を取得しやすい社内環境の整備、育児休業の対象者への周知と取得のサポート、育休取得者が担っていた業務への対応、職場復帰後のサポートなど、制度の運用面にもコストをかけなければなりません。

男性の育児休業のメリット

男性の育児休業が企業にもたらす主なメリットは、以下のとおりです。

  • 企業のイメージアップになる
  • 人材の確保につながる
  • 仕事へのモチベーションが向上する
  • 仕事と育児を両立しやすい社内環境ができる

企業のイメージアップになる

男性社員に育児休業を取得させたという実績は、企業のイメージアップになります。

冒頭に書いたとおり、男性の育児参加は国が推進する施策ですが、男性の育児休業取得率は2017年度の速報値で5.14%に留まっています。

また、厚生労働省の「平成28年度の雇用均等基本調査」の結果概要では、以下のとおり記載されています。

2014年年10月1日から2015年9月30日までの1年間に、配偶者が出産した男性がいた事業所に占める男性の育児休業者(上記の期間に配偶者が出産した者のうち2016年10月1日までの間に育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。))がいた事業所の割合は、5.4%

引用:「平成28年度雇用均等基本調査」の結果概要(12ページ):厚生労働省

つまり、全国の事業所のうち男性の育休取得者がいるのは5.4%に過ぎないということです。

こうした状況においては、男性社員に育児休業を取得させた実績は世間の注目を集めやすく、企業のイメージアップにつながることになります。

また、男性の育児休業制度の整備や運用がうまくいかず悩みを抱えている企業が多いところ、率先して男性の育児休業取得を推進することで、他の企業のロールモデルとしての地位を確立することも可能です。

人材の確保につながる

現在は、収入やキャリアアップよりも希望通りのワークライフバランスの実現を重視して就職先を選ぶ男性が増えています。

積極的な育児参加を希望し、育児と仕事の両立が無理なくできる仕事を求めている男性も増加傾向にあり、男性社員の育児休業取得実績をアピールすることが人材の確保につながりやすくなっています。

特に、将来的に育児に参加したいと考えている男性や、現在の勤務先では思い描いた育児参加ができず転職を検討している男性などにとっては、男性社員の育児休業取得実績は魅力的に映るはずです。

仕事へのモチベーションが向上する

男性の育児休業取得を周知・促進し、休業前後に手厚いサポートを行うことで、男性社員の仕事に対するモチベーションが向上し、会社に対する信頼や貢献したい気持ちも上がる傾向があります。

育児休業によって一時的に労働力が低下したとしても、その後の長い期間を会社のために尽力してくれる人材が育ち、結果として企業に大きな利益をもたらすケースも少なくありません。

また、育児休業中に得た知識やノウハウを仕事に役立てたり、新しい事業の提案を行ったりする男性社員もいます。

仕事と育児を両立しやすい社内環境ができる

男性の育児休業取得を推進するには、育児休業制度を設け、取得希望者のサポートを行い、休業中の業務の分担や他の社員の不満に対応するなど手間と時間がかかります。

しかし、そうした対応を企業として行うことで、徐々に、育休取得者以外の社員にとっても仕事と育児を両立しやすい社内環境ができていきます。

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まとめ

男性の育児休業のメリットとデメリットについて、男性の育休取得者がいる会社の経営者や人事担当者の話をまとめました。

ほぼ全員が労働力の低下というデメリットを挙げましたが、一方で「男性の育児休業を積極的に行う企業などが少ない今こそ、男性の育児休業制度を充実させて有能な人間を呼び込むべきだ。」、「育休復帰後の方が仕事を効率的にこなすようになってくれた。」などと述べる人も多く、企業としてのメリットもあることが分かります。

会社の経営者や人事担当者などは、男性の育児休業のデメリットばかりに注目するのではなく、メリットにも目を向けて、育児休業制度の充実を図るという選択肢も持っておきたいものです。

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