育孫休暇制度とは?祖父母が孫育てで育休取得?実施企業や育休の内容は?

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日本では、女性の社会進出が進み、夫婦共働き家庭が増えています。

育児休暇や育児休業に関する制度が整備され、男性の育児参加も促進されてはいますが、それでも共働きをしながら夫婦だけで育児を担うのは大変で、保育園に長時間預けるなど子どもに負担がかかることもあります。

育孫休暇制度は、働く祖父母が孫の育児のために休暇を取得できる制度で、夫婦や子どもの負担を軽減する制度の一つとして注目されています。

制度を設けている企業などはごく限定的ですが、実施企業をサポートする地方自治体も登場しており、今後、子育て世代をサポートする制度として整備が進む可能性があります。

この記事では、育孫休暇制度の概要、育孫休暇の実施企業、育孫休暇の実施企業をサポートする地方自治体について解説します。

育孫休暇制度(祖父母の育休)とは

育孫休暇制度とは、現役で働く祖父母が孫の育児のために休暇を取得する制度です。

高齢化や定年の延長などの影響で働き続ける祖父母が増加していることを背景として、企業などが育孫休暇の整備を検討したり実際に設けたりするようになっています。

育孫休暇制度は、共働き家庭のパパやママの育児負担を軽減する効果が指摘されています。

また、必要な監護補助が得られることでパパやママが安心して子作りできるようになり少子化問題が改善されるのではないか、孫と関わることで祖父母の認知症や燃え尽き防止などが防止できるのではないかなどという指摘もあります。

育孫休暇の内容は企業によって異なりますが、孫の出産時の支援、孫の子守り、幼稚園や保育所の送迎、行事参加など、孫の育児のためであれば幅広い目的で取得できることが多くなっています。

育孫休暇制度の整備状況

育孫休暇制度は、企業や地方自治体が自発的に制度を設けたりそれをサポートしたりしているだけで、パパやママの育児休業や育児参加制度のように法的根拠はないのが現状です。

また、育孫休暇制度を設けているのはごく一部の企業などのみで、内容もバラバラです。

しかし、今後も少子高齢化が進み、当面は働き方改革も注目され続けるであろうことを考えると、育孫休暇制度が社会の中に浸透していく可能性はあります。

育孫休暇制度の実施企業

育孫休暇制度を設けている主な企業と取得条件を見ていきましょう。

第一生命保険株式会社:孫誕生休暇

第一生命保険株式会社は、1902年に設立された生命保険会社で、設立当時は相互会社でしたが、2010年に株式会社に転換しています。

第一生命保険株式会社は、2006年、育児や介護の支援制度の充実を目的として仕事と育児に関する制度を改定し、育児に関する制度の一つとして孫誕生休暇を設けました。

孫誕生休暇とは、孫が誕生した職員に3日間の特別公休を付与するとともに、年休や土日と通算して最長で9日間の休暇が取得できるようにした制度です。

日本における育孫休暇の先駆けと言える制度で、制度開始以降、職員に積極的に周知されたことで、毎年1000人前後の職員が取得しています。

孫1人あたり最長で9日間の休暇が取得できるため、孫が生まれる度に、出産後の慌ただしい時期にママをサポートしたり、孫の兄姉のお世話をしたりすることができます。

東邦銀行:イク孫休暇

東邦銀行は、福島県の代表的な銀行の一つで、1941年に地元の3つの銀行が合併されて設立された銀行です。

「人を大事にする経営」を運営の基盤として、時間外労働を始業時間前にも適用して朝型勤務を取り入れ、各種休暇制度(結婚休暇、子の看護休暇、介護休暇、裁判員制度休暇、健診休暇、リフレッシュ休暇など)を整備するなど、職員が働きやすい環境を整えることに力を注いでいます。

2015年3月に職員活躍推進室が設置された後、積立特別休暇制度(未取得の年次有給休暇を積み立てて充当する制度)が改正され、積立日数が60日から120日に増えたことに加え、ケガや病気、ボランティアに利用目的が限定されていたところ育児、介護、孫の育児を目的として取得できるようになりました。

孫の育児を目的として取得するのが、東邦銀行の育孫休暇制度「イク孫休暇」です。

東邦銀行のイク孫休暇は、未消化のまま翌年度に繰り越すことができなかった年次有給休暇を積立特別休暇として利用することができ、年次有給休暇扱いとなるため給料が100%支払われます。

また、孫の育児のためであれば、出産前後の支援やママの入院中の孫の世話などだけでなく、遠方に住む孫に会いに行くために取得することも認められています。

東邦銀行では、イク孫休暇を設けた後、上司から部下に対して積極的に制度があることを周知し、部下から「孫のために休みたい。」と休暇の申請があったときにイク孫休暇を打診するなど制度利用を推し進めています。

株式会社ハッピースマイル:育孫休暇制度

株式会社ハッピースマイルは、写真販売代行サービスを行う埼玉県さいたま市に拠点を置く企業です。

社員の8割以上が女性の会社で、仕事と子育てが両立できる職場環境作りに力をいれており、2014年には、仕事と育児などの両立支援のために多様な働き方を実践している企業として、埼玉県の「多様な働き方実践企業」に認定されています。

2017年、孫育てを行う社員をサポートするために、孫が高校を卒業するまでの間に1日1時間の育児時間(30分単位)を取得できるという内容の孫育休暇制度を導入しました。

2017年11月30日の日本経済新聞(朝刊)に特集記事が掲載されるなど、仕事への支障が少なく、柔軟な休暇取得ができる育孫休暇制度として注目されています。

育孫休暇の実施企業をサポートする地方自治体

育孫休暇制度を設ける企業の支援を表明する地方自治体も登場しています。

岡山県:孫育て休暇奨励金

岡山県は、孫育て休暇(孫の世話を目的とした休暇)の制度を設けて実績を積んだ中小企業(従業員300人以下)に対して、奨励金を支給する制度を設けています。

孫の世話に携わる祖父母を増やすことでパパやママの負担を軽減し、少子化問題の改善を図る目的で設けられた制度で、中国地域では初めて制度化されました。

2017年度の岡山県の孫育て休暇奨励金の支給要件は、以下のとおりです。

労働者が孫を養育するための休暇(孫育て休暇)を制度化した上で、次の要件に該当する労働者に孫育て休暇を取得させた事業主が対象です。

①県内の事業所に勤務している労働者であること(性別は問いません)

②31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること

③1週間の所定労働時間が20時間以上であること

④平成27年4月1日以降、勤務を要しない日を除いて1日以上の孫育て休暇を新たに取得し、当該休暇終了後、平成29年4月1日から平成30年3月

31日までに原職等に復帰していること

支給額:50,000円(孫育て休暇取得者1人目、休暇の期間1日以上の場合)

引用:おかやま労働2017年夏NO.478(現在は掲載ページが削除されています。)

福井県:祖父母の育児休暇等取得促進奨励事業

福井県は、就学前の孫を預かることを目的として従業員に休暇を取得させた企業に対して奨励金を支給する制度を設けています。

家族が全員で育児をサポートする環境づくりを促進する目的で設けられた制度です。

支給要件は、以下のとおりです。

福井県内に本社を有する事業主であり、次の項目に該当する従業員(祖父母)がいることが要件となります。

県内の事業所に勤務しており、次の要件を満たすこと。

就学前の孫を預かる祖父母が、勤務を要しない日を除き、「連続する10日以上の育児休暇等を取得」または「最低5日以上の連続する育児休暇等を2回、計10日間以上取得」し 職場復帰していること。

支給額:10万円

引用:祖父母の育児空加藤の取得を促進する企業を応援します。|福井県ホームページ

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まとめ

核家族化が家族のスタイルとして定着している日本ですが、祖父母が孫の子育てに関与する家庭は多いものです。

若いうちに子どもを産み、その子どももまた若くして親になることで現役世代のうちにおじいちゃんやおばあちゃんになる人が一定数いるところ、そうした人が孫育てに関与できる制度が孫育休です。

制度を設けている企業などはごく限定的ですが、孫と関わる機会を増やしたい祖父母や、子育てに祖父母の手を借りたい父母にとってはメリットが大きい制度です。

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