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乳児期の子育て

赤ちゃんポストとは?場所は慈恵病院のみ?現状のメリット・デメリットは?

赤ちゃん ポスト 場所 現状

おなかを痛めて出産した赤ちゃんを育てられないお母さんがいます。

「望まない妊娠をして中絶に踏み切れず出産したが、生まれてきた赤ちゃんに愛情を抱けない。」、「交際相手と破たんし、経済的に養っていけなくなった。」、「重い障害があって手に負えないし、赤ちゃんのことで夫婦関係も悪くなった。」など、赤ちゃんを育てられない理由は様々です。

赤ちゃんポストは、親が育てることができない赤ちゃんの受け皿の一つとして登場した仕組みで、仕組みができる前から賛否が真っ二つに分かれて議論が繰り返されてきました。

このページでは、赤ちゃんポストの概要と現状、場所、メリットやデメリットについて紹介します。

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赤ちゃんポストとは

赤ちゃんポストとは、何らかの事情で育てることができない赤ちゃんを、親が匿名で預けることができる施設や仕組みそのもののことです。

赤ちゃんポストの目的は、望まない赤ちゃんを授かったり、諸事情で育児が困難になったりしたお母さんが、中絶、危害行為、育児放棄などで赤ちゃんの命を奪うのを避けることです。

日本唯一の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」

2017年2月時点で、日本で赤ちゃんポストを設置しているのは、熊本県の慈恵病院のみです。

慈恵病院では、「こうのとりのゆりかご」と呼んでおり、赤ちゃんポストという名前は使用していません。

慈恵病院は、国内に約100カ所の赤ちゃんポストを持つドイツの「Baby klappe」という仕組みを参考に、2007年5月から運用を開始しています。

こうのとりのゆりかごは、慈恵病院内の人目に付きにくい場所に設置されています。

赤ちゃんを預ける場所には、新生児ならすっぽり入るサイズのトビラがあり、中には赤ちゃんが快適に過ごせる温度に設定された保育器が設置されています。

ゆりかごまでの経路、ゆりかごの前、保育器のそばにはお母さん宛ての案内板や手紙が設置されており、赤ちゃんの将来などを相談できる窓口「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」の連絡先などが書かれています。

なお、赤ちゃんを保育器に入れてトビラを閉めると、内側からロックがかかり、外からは開かなくなります。

また、監視カメラが設置されていますが、お母さんのプライバシーを保護し、より安心して赤ちゃんを預けられるように、お母さんの姿は映らないように調節されています。

「こうのとりのゆりかご」に預けられた赤ちゃんのその後

こうのとりのゆりかごに預けられた赤ちゃんは、次のような経過をたどります。

  1. 赤ちゃんがこうのとりのゆりかごに預けられると、ナースステーションと新生児室のアラームが鳴る
  2. 看護師をはじめとする病院の医療スタッフが駆けつけて赤ちゃんを保護する
  3. 慈恵病院の医師が赤ちゃんの健康状態を確認し、熊本市児童相談所と熊本南警察署に連絡する
  4. 熊本南帰省札所が事件性の有無を確認する
  5. 熊本市児童相談所が、熊本県内の乳児院に赤ちゃんを一時保護して社会調査を行う(医療費、措置費、生活費は国費負担)
  6. 身元が判明した場合は、乳児院への入所もしくは里親委託を経て、子を望む夫婦と赤ちゃんを養子縁組を行う(家族が引き取り意思を示し、虐待の危険がない場合は家庭に戻すこともある)
  7. 身元が判明しない場合は、乳児院への入所もしくは里親委託を経て、子を望む夫婦と赤ちゃんの特別養子縁組を家庭裁判所に認めてもらう

なお、養子縁組が行われず、乳児院から児童養護施設に移ることも珍しくありません。

赤ちゃんポストに関係する専門用語

赤ちゃんポストには、行政や司法の手続きがたくさん絡んでいます。

  • 一時保護:児童相談所長もしくは都道府県知事が必要と認めた場合(子どもの生命の安全のためなど)に、子どもを家庭などから引き離して一時保護所などに入所させる行政処分。原則は2ヶ月間
  • 児童養護施設:保護者がいない子どもや、虐待を受けた子どもを受け入れて養護し、自立を支援する施設
  • 特別養子縁組:法律上、子どもと実の父母の親族関係を断絶させる(養親と親子になる)養子縁組(戸籍上、特別養子縁組を行った痕跡は残る工夫がされている。)。原則6歳未満の子どもについて、家庭裁判所が縁組を認めるかどうか判断する。

関連ページ

特別養子縁組とは?条件と手続き費用、戸籍は?普通養子縁組との違いは?

赤ちゃんポストに預けられた赤ちゃんの名前と戸籍はどうなる?

社会調査の結果、赤ちゃんの身元が判明しない場合は、熊本市長が子どもの氏名を決め、本籍地を決めます(赤ちゃん単独の戸籍を作成)。

名前を書いた手紙などがポスト内に残されている場合などは、その名前を使います。

一方で、身元が判明した場合は、既にある戸籍とそこに記載されている氏名を使うことになります。

関西に赤ちゃんポストが設置される?

2017年2月10日、医師らで構成される市民団体「こうのとりのゆりかごin関西」が、関西にも赤ちゃんポストを設置することを計画しています。

計画では、神戸以内のマナ助産院の敷地内に設置する予定で、仕組みは慈恵病院の赤ちゃんポストを踏襲する見込みです。

市民団体は2017年中の開設を目指していますが、行政側は慎重な姿勢をとっており、今後の動向が注目されます。

(2017.5.9追記)

2017年5月時点では、医師の確保が困難であることから赤ちゃんポストの設置は中断されています。

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赤ちゃんポストの現状

赤ちゃんポストは、2007年5月の設置から2015年までに、合計125人の子どもが預け入れられています。

また、赤ちゃんポストと同時期に開始された「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」への相談件数が増加しており、2015年度は5466件と前期比130%超となっています。

相談内容は、思いがけない妊娠(婚姻前の妊娠や望まない妊娠など)が多く、430件だと発表されています。

赤ちゃんポストのメリットとデメリット

赤ちゃんポストは、設置前からメリットとデメリットがいくつも指摘され、議論されてきました。

赤ちゃんポストのメリット

  • 危害行為や育児放棄などから赤ちゃんの命を守ることができる
  • 中絶の抑止につながり、赤ちゃんは、授かった命で生きるという選択肢が与えられる

赤ちゃんポストのメリットは、何よりもまず赤ちゃんの命を守ることです。

親から虐待や放棄などを受けて命を落とすリスクを減らそうというのは、設置目的とも合致しています。

赤ちゃんポストのデメリット

  • 安易に預ける親が増えて育児放棄を助長する
  • 親子が再会を願ってもかなわない可能性が高い

いずれも、匿名で預けることができるという現在の赤ちゃんポストの仕組みから生じているデメリットです。

しかし、匿名性を止めると預けにくくなり、かといって適切に育てることもできずに虐待や育児放棄につながるという指摘があります。

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まとめ

赤ちゃんポストを理解するには、親の教育力・監護力不足、核家族化や地域との関わりの希薄化、児童虐待、経済的な不安など様々な問題と向き合わなければなりません。

また、一時保護、乳児院や児童養護施設への入所、養子縁組、特別養子縁組など赤ちゃんに関する制度に対する理解も必要です。

さらに言えば、赤ちゃんポストに預けられた子どもがどのように成長したのかを調べる縦断的な調査を行い、その有用性や課題を把握していくことも求められていくはずです。

妊娠や育児に悩むお父さんお母さんは増え続けており、今後も赤ちゃんポストに預けられる赤ちゃんはなくならないでしょうし、相談も増加していくことが予想されます。

今後は、これまでの経過や諸外国の動向も踏まえて、預けられた赤ちゃんの幸せという視点から、制度の存続や改善について議論がなされていくべきでしょう。

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