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乳児期の子育て

ヒルシュスプルング病とは?原因と症状、治療は?発症率、予後・死亡率は?

ヒルシュスプルング病 新生児 予後 死亡率

ヒルシュスプルング病を知っていますか?

ヒルシュスプルング病は、生まれつき腸の神経節細胞がないという病気で、適切な治療を受けないと命に関わります。

このページでは、ヒルシュスプルング病の概要、原因、発症率、症状、合併症、治療法、予後や死亡率について紹介します。

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ヒルシュスプルング病とは

ヒルシュスプルング病とは、生まれつき、消化管の働きをコントロールする腸の神経節細胞がないことで、便秘や腸閉塞を引き起こす病気です。

人は、口から食べ物を取り入れて、腸管で消化して必要な栄養を吸収し、不要な老廃物を便として身体の外に出すことで生命活動を維持しています。

通常、腸内に食べ物が入ると腸の神経節細胞が刺激され、蠕動運動(ぜんどううんどう。筋肉を緩めたり締めたりする運動)が起こり、食べ物を移動させながら消化・吸収・排泄していきます。

ところが、ヒルシュスプルング病は、生まれつき腸の神経節細胞がないため蠕動運動が起こらず、腸管が縮んだ状態のままなので、腸内に食べ物が溜まって慢性的な便秘になってしまい、腸が大きく広がってしまいます。

ヒルシュスプルング病の発症率

ヒルシュスプルング病の発症率は、5000人に1人です。

男の子と女の子の比率は3:1で、男の子の方が多くなっています。

他の消化管奇形の赤ちゃんの場合、低出生体重児であることが多いものですが、ヒルシュスプルング病の場合は、低出生体重児率が約5%と低くなっています。

ヒルシュスプルング病の原因

健全な発達を遂げる赤ちゃんの場合、消化管の神経節細胞は、在胎5週~12週頃に食道の口に近い部分に発生し、小腸、大腸、直腸と肛門側へ向かって分布していくものです。

ヒルシュスプルング病の場合、何らかの原因で神経節細胞の分布が止まってしまいます。

ヒルシュスプルング病患者の腸管細胞を調べたところ、遺伝子の変異が認められるという研究結果がありますが、原因は特定されていません。

ヒルシュスプルング病の兆候と症状

健常な赤ちゃんは生後1日以内に黒っぽい胎便を出しますが、ヒルシュスプルング病の赤ちゃんは胎便が遅れます。

神経節細胞がなく腸の蠕動運動が起こらないので、食べた物が腸管でたまって慢性的な便秘になり、おならもうまく出せないたm、おなかがパンパンに膨らみます。

常にお腹が張った状態なので食欲がなくなり、母乳やミルクを十分飲めずに栄養状態が悪化し、体重も増えなくなってしまいます。

おなかの張りが酷くなると濃い緑色の液体を吐くようになります。

症状が進むと、腸閉塞や重症の腸炎の合併、腸の細胞の壊死、腸の壁に穴が開くなど深刻な症状を引き起こすことがあり、命の危険が高くなります。

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ヒルシュスプルング病の症状の重さはどこで決まる?

ヒルシュスプルング病の症状は、腸の神経節細胞がない範囲が大きいほど症状が重くなる傾向があります。

約80%の患児は、神経節細胞が欠けているのは大腸の肛門側の部分(S状結腸)から肛門までですが、大腸全体や大腸と小腸全体の神経節細胞がない赤ちゃんもいます。

一方で、神経節細胞がない範囲が小さく、便秘以外の症状がない赤ちゃんも約10%いるという統計があります。

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ヒルシュスプルング病の検査と診断

ヒルシュスプルング病の検査と診断は、次の手順で行われるのが一般的です。

  • 問診、診察:胎便の時期、おならが出るかどうか、排便の頻度や状態、おなかの張りを確認する
  • 直腸指診:肛門から指を入れてガスが出るかどうか、便があるかどうかを確認する
  • 腹部レントゲン検査:腸管内のガスの量を調べる
  • 注腸造影剤検査:肛門から直腸までカテーテルを挿入して造影剤を注入し、レントゲン検査で大腸の異常を調べる検査(ヒルシュスプルング病は、腸の口側の口径が広く、肛門側は狭く縮んでいる)
  • 直腸肛門内圧検査:肛門から直腸まで管を挿入して医療用バルーンを膨らませ、直腸肛門反射(便が直腸を通る時に肛門が緩む反射)があるかどうかを調べる検査(ヒルシュスプルング病は、直腸肛門反射がない)
  • 直腸生検検査:肛門から直腸まで生検器具を挿入して腸粘膜を採取し、腸粘膜内の神経系酵素の量を調べる検査(ヒルシュスプルング病は、酵素の量が通常より多い傾向がある)

便秘やおなかの張りを症状に持つ病気はたくさんあるので、複数の検査を行って慎重に診断するのです。

ヒルシュスプルング病の治療

神経節細胞が無い範囲が小さく、症状が便秘のみの場合には、浣腸などで腸の働きをコントロールする治療が行われます。

しかし、ほとんどの場合は、腸管の神経節細胞がない部分を切除する手術が必要になります。

神経節細胞がない範囲が小さい場合は、肛門から腸に管を入れて腸内洗浄やガス抜きを行い、浣腸で排便をコントロールして、生後3ヶ月及び体重が5kgを超えてから手術を行います。

神経節細胞がない腸管を切り、神経節細胞がある腸管を引き降ろしてつなぎ合わせる「結腸プルスルー術」という根治手術を行うのが一般的です。

神経節細胞がない範囲が大きい場合は、異常のない腸管の位置を見極めてストーマ(人工肛門)や腸瘻を作る手術を行い、術後の経過を観察しながら、生後6ヶ月を過ぎた頃に根治手術を行うことが多くなっています。

手術の方法

以前は開腹手術が一般的で、赤ちゃんの負担の大きさが心配されてきました。

現在は、開腹せずに、腹腔鏡や肛門から管などを入れる手術で対応できるケースが増えてきており、赤ちゃんへの負担が軽減されつつあります。

ヒルシュスプルング病の予後と死亡率

神経節細胞がない範囲によって予後が悪くなります。

死亡率も、ヒルシュスプルング病全体では約3%ですが、神経節細胞が内範囲が大きいほど高くなります。

神経節細胞がない範囲が小さい場合は、根治手術を受けた後は浣腸などで排便をコントロールし、感染に注意して生活するうちに症状が改善していきます。

一方で、神経節細胞がない範囲が大きい場合は、根治手術後も便秘や腸炎が残ったり、感染性胃腸炎などを発症したりしやすいため、継続的に排便をコントロールする治療が必要になります。

また、いずれの場合も長期間にわたって定期的に通院し、医師に術後の様子をチェックしてもらうのが一般的です。

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まとめ

ヒルシュスプルング病は生まれつきの病気です。

赤ちゃんがヒルシュスプルング病と診断された後、自分を責めてしまう親が少なくありませんが、親の責任ではないので、落ち込み過ぎないでください。

早期に発見して適切な治療を受け、定期的な通院を続けることで、日常生活を支障なく過ごせる赤ちゃんもたくさんいるので、赤ちゃんの体調に気を配りながら、温かく接してあげましょう。

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